ミクロソリウム・ウェンディロフは、波打つように細かく分岐した独特の葉先が最大の特徴のシダ系水草です。通常のミクロソリウム・プテロプスとは一線を画すレース状の葉の形状は、水槽内に繊細かつ風格あるたたずまいをもたらします。
CO2添加が不要で低光量でも育つ丈夫さを持ちながら、その美しい葉形から上級者のネイチャーアクアリウムにも多用されるハイグレードな水草です。本記事では、ウェンディロフの育成データ・活着方法・トリミング・増やし方・よくある失敗と対処法・入手方法まで、具体的な数値を交えながら徹底解説します。初心者から中級者まで「自分でも育てられる」と実感できる内容を目指しました。
ミクロソリウム・ウェンディロフの育成難易度

ミクロソリウム・ウェンディロフはシダ系水草の中でも育てやすい品種です。基本的な管理はミクロソリウム・プテロプスやナローリーフと共通しており、CO2添加なし・低光量・ソイル不要という三つの強みを持ちます。ただし、葉の分岐が細かいため汚れやコケが付着しやすい点と、高水温に弱い点は他のミクロソリウムと同様に注意が必要です。
ミクロソリウム・ウェンディロフは葉の分岐が細かく複雑な形状をしているため、コケや汚れが葉の細部に入り込みやすく、水流の確保と定期的なトリミングによる古葉の除去が美観維持の最重要ポイントです。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 名前 | ミクロソリウム・ウェンディロフ |
| 学名 | Microsorum pteropus “Windelov” |
| 科名 | ウラボシ科 ミクロソリウム属 |
| 育成難易度 | 易しい(初心者〜中級者向け) |
| 二酸化炭素添加量 | 不要(添加する場合は1秒0.5〜1滴程度) |
| ソイル | 不要(流木・石への活着が基本) |
| pH | 5.0〜7.5(弱酸性〜中性が最適) |
| 光量 | 低〜中光量(60cm水槽で500〜2,000lm) |
| 肥料 | カリウム・微量元素の液肥を少量(週1〜2回) |
| 植栽位置 | 中景〜後景(流木・石への活着) |
| 成長速度 | 遅い(月に2〜3枚程度の新葉展開) |
| 水温 | 18〜27℃(適温20〜25℃) |
| 原産地 | 東南アジア(改良品種:デンマークで作出) |
ウェンディロフという名称はデンマークのアクアリウム愛好家ヴィンデロフ氏にちなんで名付けられた改良品種です。通常のミクロソリウム・プテロプスを基にした品種で、葉先が細かく3〜5回分岐してレース状に広がる姿が最大の特徴です。この葉の形状はナチュラルレイアウトやネイチャーアクアリウムにおいて木の葉を表現する素材として非常に高く評価されており、世界中のアクアリストから愛されています。成長は遅めですが、大株に育った際の存在感は圧倒的で、レイアウトの主役になり得る水草です。
二酸化炭素・液肥・ソイルは必要か?
ミクロソリウム・ウェンディロフを育てるうえで、特別な設備は基本的に必要ありません。CO2添加・高光量照明・栄養系ソイルのいずれも必須ではなく、一般的なアクアリウム設備で十分に育成できます。しかし、成長が遅い水草であるため、肥料の管理を適切に行うことで健全な葉の維持と新葉の展開を促すことができます。ウェンディロフは成長が非常にゆっくりな水草のため、焦って肥料を過剰添加するとかえってコケが爆発的に増殖するリスクがあり、「少量を定期的に」というアプローチが肥料管理の鉄則です。
CO2添加の必要性と水質管理
ミクロソリウム・ウェンディロフはCO2なしで問題なく育成できます。東南アジアの流れの緩やかな河川に自生する種を起源とするこの水草は、CO2が少ない環境にも十分に適応しています。CO2を添加した場合は新葉の展開がやや促進されますが、元々成長が遅い水草のため、CO2添加の効果がカボンバやロタラほど劇的に現れるわけではありません。
CO2を添加する場合は1秒0.5〜1滴程度の控えめな量が適切です。ウェンディロフが持つ繊細な葉の形状は、強い水流によって傷つくことがあります。CO2添加時に水流を強めすぎると葉先の細かな分岐部分が折れたり、汚れが付きやすくなったりするため、水流の強さにも注意が必要です。エアレーションはCO2を抜いてしまうためCO2添加時は夜間のみとし、昼間はエアレーションを控えるのが一般的な管理方法です。
水質についてはpH5.0〜7.5という広い範囲に対応できますが、最も健全に育つのはpH6.0〜6.8の弱酸性環境です。水道水を使用している場合はpHが7.0〜7.5になりやすいため、流木の設置やピートモスの使用でpHを調整するとより良い結果が得られます。硬度(GH)は軟水〜中程度の硬水(GH3〜8程度)に対応しており、極端な軟水や超硬水でなければ問題なく育ちます。
液肥・底床肥料とソイルの選び方
ウェンディロフは活着性の水草であるため、底床肥料を使用する必要はありません。根から栄養を吸収するのではなく、主に葉と細根から水中の栄養を吸収するため、液肥による水中への施肥が最も効果的なアプローチです。液肥はカリウム主体のものを週1〜2回、規定量の半分程度を目安に添加してください。カリウムが不足すると古葉から順番に黄化が進み、葉先の分岐部分が枯れ込んでいきます。
鉄分と微量元素も定期的な補給が必要です。鉄分が不足すると新葉の色が薄くなり、本来の濃い緑色が出にくくなります。鉄分と微量元素を含む液肥として「ADAグリーンブラティ」「セラフロレナ液体」「テトラフローラプライド」などが使いやすいです。窒素とリンについては魚の飼育水槽であれば排せつ物から十分に供給されるため、追加施肥は基本的に不要です。
底床はウェンディロフを直接植える場合には必要ありませんが、流木や石を置く台として砂や大磯砂を敷いても問題ありません。もし底床に埋めて育てたい場合はソイルが適していますが、根茎を必ず底床表面に出した状態に保つことが重要です。根茎を深く埋め込むと通水性が悪くなり腐敗の原因になります。
ミクロソリウム・ウェンディロフの育て方
ミクロソリウム・ウェンディロフは丈夫で育てやすい水草ですが、その美しい葉形を長期間維持するためには適切な管理が必要です。特にコケ対策と古葉の管理が美観維持の鍵となります。ウェンディロフの葉は細かく分岐しているため、コケが一度つくと取り除くのが非常に難しくなります。日頃からコケが生えにくい環境を維持することが最善策です。ウェンディロフにコケが付いた場合は木酢液を直接葉に薄く塗布し、30秒ほど待ってから水で洗い流す処理が最も効果的で、コケを枯らしつつ水草本体へのダメージを最小限に抑えられます。
活着方法と正しい植え方
ミクロソリウム・ウェンディロフを流木や石に活着させる基本手順を詳しく解説します。まず購入した株の状態を確認し、根茎の傷んでいる部分・黒化している部分・古い葉(黄化・黒斑あり)をハサミで丁寧に取り除きます。次に活着させたい流木や溶岩石の表面を水道水で洗い、乾燥させておきます。
根茎を流木の表面に乗せ、木綿糸(後から自然に溶けて除去不要)またはテグス・専用活着バンド(後から取り外す必要あり)でしっかり固定します。固定の際のポイントは、根茎全体が流木の表面に密着するよう複数箇所を縛ることです。1〜2か所のみの固定では根茎が浮き上がり、活着に失敗しやすくなります。ウェンディロフの根茎は比較的細く、力を入れすぎると折れることがあるため、やさしく扱ってください。
活着完了までの期間は水温・光量・水質によりますが、概ね2〜4ヶ月が目安です。ウェンディロフは成長が遅いため、ナローリーフよりも活着に時間がかかる傾向があります。活着前の期間は根茎が動かないよう定期的に確認し、固定が緩んでいたら締め直してください。根が流木の隙間に入り込み始めたら活着成功のサインです。
なお、活着させずにポットや底床に植える方法も一応可能ですが、ウェンディロフ本来の美しさを引き出すには流木や石への活着が圧倒的におすすめです。特に沈木の曲線に沿って根茎を這わせるようにレイアウトすると、自然の渓流に生えるシダのような雰囲気が演出できます。
トリミング・増やし方と長期管理のコツ
ウェンディロフのトリミングは基本的に「古葉の除去」と「根茎の株分け」の二種類です。成長するにつれて古くなった葉は黄化したり茶色くなったりするため、こまめに取り除くことで株全体の見た目を維持できます。葉を切る際は根茎に傷をつけないよう注意し、葉の付け根の少し上でカットします。
根茎の株分けによる増やし方が最もポピュラーな方法です。根茎が十分に伸びたら(目安として長さ5〜8cm以上)、ハサミで根茎を切り分けます。切り分けた根茎にはそれぞれ複数枚の葉と細根が残るようにカットするのが重要です。切り分けた根茎を新しい流木や石に固定すれば、そこから新葉が展開し始め、独立した株として育っていきます。
ウェンディロフの葉先には不定芽が形成されることがあります。この不定芽は親葉の先端にミニチュアの葉のような形で現れ、4〜6枚の葉が展開した段階で親葉から切り離せます。切り離した不定芽を流木に固定すれば、そこから独立した株として成長します。この繁殖方法はウェンディロフを始めとするミクロソリウム属全般に見られる特徴的な繁殖方法です。
長期管理において特に注意すべきポイントは夏場の水温管理です。水温28℃以上が続くとシダ病(葉面に黒い斑点が広がる病気)が発生しやすくなります。シダ病が出た場合は患部の葉を即座にすべて取り除き、水換えを増やして水温を下げることが最優先です。一度広がると株全体に伝染するため、早期発見・早期対処が命取りになります。水槽用クーラーや冷却ファンで夏場の水温を26℃以下にキープすることをおすすめします。
| 失敗例 | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| 葉に黒い斑点が広がる(シダ病) | 高水温(28℃以上)・水質悪化 | 患部の葉を即座に除去し、水温を26℃以下に下げ、水換えを週2〜3回に増やす |
| 葉先の分岐部にコケが生える | 富栄養化・水流不足・光量のアンバランス | 水換えを増やし、ヤマトヌマエビを導入する。木酢液処理でコケを枯らす |
| 葉が黄化していく | カリウム・鉄分・微量元素不足 | 液肥(カリウム系・微量元素系)を週1〜2回添加する |
| 活着せず根茎が浮き上がる | 固定箇所が少ない・糸が緩んだ | 根茎の全体を複数箇所で固定し直す。活着バンドを追加する |
| 根茎が黒く腐る | 根茎の埋め込み・通水性の悪さ | 腐った部分をカットし、残った健全な部分を流木表面に固定し直す |
| 新葉が全く出ない・成長が極端に遅い | 光量不足・水温低下・栄養不足 | 照明を増強(500lm以上確保)し、水温を20℃以上に保つ。液肥を開始する |
| 葉先の分岐が途中で止まる | 光量不足・微量元素不足 | 光量を増やし、鉄分・微量元素入り液肥を補給する |
ミクロソリウム・ウェンディロフの入手方法
ミクロソリウム・ウェンディロフは比較的流通量が多い品種で、アクアリウム専門店やネット通販で安定して入手できます。ただし通常のプテロプスよりはやや高級品として扱われることが多く、価格もやや高めです。ウェンディロフは流木活着済みの商品を購入すると、届いてすぐにレイアウト水槽に配置できるため、初心者には活着済み商品の購入が最もコストパフォーマンスが高くおすすめです。
リアル店舗での購入と価格相場
アクアリウム専門店・熱帯魚専門店では、ポット入りまたは流木活着済みの形で販売されていることがほとんどです。ポット入りの価格相場は1ポット(根茎長さ5〜10cm・葉4〜8枚程度)で600〜1,200円程度です。流木活着済みの商品は流木のサイズや株の大きさによって差がありますが、一般的には1,500〜5,000円程度で販売されています。大型の株や特に美しい葉形のものはそれ以上になることもあります。
店頭で選ぶ際は、葉の分岐が細かく均一に広がっているか、葉先まで緑色で黒斑や黄化がないかを確認することが重要です。また根茎部分がしっかりとしていて、腐れや黒化がないものを選びましょう。ウェンディロフの葉の分岐は健康な状態の株ほど細かく美しいため、葉の形状そのものが株の健全度を示すバロメーターになります。
ネット通販での購入ポイントと価格
ネット通販では、チャーム・アクアフォレスト・各種水草専門ショップ・フリマアプリ(メルカリ・ヤフオク)などで購入可能です。通販価格の目安はポット入りで500〜1,000円(送料別)、流木活着済みで1,500〜6,000円(送料別)程度です。フリマアプリではトリミング後の株分け品が300〜800円程度で出品されることも多く、コストを抑えて入手したい方に最適です。
通販購入時に確認すべき重要なポイントをまとめます。第一に「無農薬」「農薬不使用」「エビOK」の表記があるかどうかです。ミクロソリウムはエビ水槽でも人気の高い水草ですが、農薬処理済みの株を直接投入するとエビが死滅します。農薬の有無が不明な場合は必ず2週間以上の水換えトリートメントを行ってください。第二に出品者が現在の株の状態を撮影した鮮明な写真を掲載しているかどうかです。ウェンディロフは葉の形状が品質を大きく左右するため、実際の写真確認が非常に重要です。
輸送時の注意点として、夏場は梱包内部の温度上昇によりシダ病が発生しやすく、届いた状態で葉に黒斑が見られる場合があります。このような場合は患部の葉を除去してから水槽に設置すれば、根茎が健全であれば復活できます。冬場は水温低下による輸送ダメージを防ぐため、保温梱包(断熱材・カイロ使用)の出品者を選ぶか、気温が安定した春秋に購入するのが理想的です。届いたらなるべく早く水合わせを行い、水温・水質に慣らしてから設置してください。
まとめ
- ミクロソリウム・ウェンディロフは学名Microsorum pteropus “Windelov”、デンマークで作出された改良品種のシダ系水草
- 葉先が細かく3〜5回分岐するレース状の葉形が最大の特徴で、ネイチャーアクアリウムで高く評価されている
- CO2添加・ソイル・高光量照明いずれも不要で、初心者から中級者まで扱いやすい優秀な水草
- 適正pH5.0〜7.5、水温20〜25℃が最適。28℃以上でシダ病リスクが急増するため夏場の水温管理が重要
- 活着方法は根茎を木綿糸・テグスで流木や石に複数箇所固定し、2〜4ヶ月で完全活着する
- 葉の細かな分岐にコケが付きやすいため、水換えとヤマトヌマエビの導入でコケを予防することが美観維持の鍵
- 増やし方は根茎の株分けと葉先の不定芽の二種類。成長は遅いが長期育成で大株の美しい姿を楽しめる
- 液肥はカリウム・微量元素系を週1〜2回少量添加するだけで葉色と新葉展開が安定する
- 購入時は農薬の有無を必ず確認し、初心者には流木活着済み商品がおすすめ
- 価格はポット入り600〜1,200円、流木活着済みで1,500〜6,000円程度が相場
初心者の方へのアドバイスとして、ミクロソリウム・ウェンディロフは「本格的なレイアウト水槽を作りたいけれど、難しい水草は扱えない」という方にとって理想的な水草です。手間が少なく丈夫でありながら、その美しい葉形は水槽をワンランク上の雰囲気に仕上げてくれます。夏の水温管理さえ守れば、何年も楽しめる長寿の水草です。ぜひ流木への活着を試みながら、自分だけのネイチャーアクアリウムを作り上げてみてください。
参考にした主な情報源
- ordinary-aquarium.design(水草図鑑・ミクロソリウム解説)
- aquarium-tips.jp(シダ系水草の育て方)
- t-aquagarden.com(ミクロソリウム育成コラム)
- AQUALASSIC(水草育成ガイド)
- charm.jp(チャーム水草詳細ページ)
- アクアフォレストオンライン(ミクロソリウム育成情報)
- poly-pterus.site(活着水草育成解説)
- ADA公式サイト(水草・レイアウト製品情報)
- 水草水槽レイアウトブログ各種(ウェンディロフ育成実績データ参考)
- メルカリ・ヤフオク出品者ページ(価格相場参考)


コメント